漢方にほど近い香辛料「花椒」で冷えと痛みを和らげる知恵

花椒と書いて「かしょう」と読む そのパワーは漢方に匹敵!?
花椒(かしょう)と言われてもぴんとこない日本人は多いかもしれません。
ですが、中国では花椒と言えば四川料理に欠かせない重要な香辛料の一つ。
私たち日本人ももちろん、中華料理店で知らず知らずの内に、麻婆豆腐やエビチリなどでこの香辛料を食べているのですが、薬膳料理の香辛料としてもトップクラスのパワーを持っているのが花椒。
冷えや痛みなどを緩和する力のある花椒は日本人にとっても、とても役立つ先人の知恵の香辛料だったのです!!
花椒とは?
日本語読みでは「かしょう」と読みますが、中国では「ホアジャオ」「ホワジャオ」などと発音し、四川料理のメインスパイスの一種となります。
日本の山椒と区別するために「四川山椒」や「中国山椒」と呼ばれる事もあるのですが、日本の山椒とは別物です。
独特の辛みのある味が特徴的で、犬山椒などの赤い果実の果皮のみを感想させたものです。
もちろんスパイスとして売られているのは当然として、中国では漢の時代から「椒」という薬として使われていた記録が、医学書に書かれていたほどの歴史のある漢方食材でもあるのです。
味の方は「椒」と書かれているだけあり、山椒にほど近い「痺れるような辛み」があり、四川料理以外でも、雲南料理、西北料理、蒸し料理など、多くの中華料理に使われています。
山椒と比べると、鋭い味わいで、口の中の痺れる感覚も断然花椒のほうが強いでしょう。
ですが、花椒の方がフルーティな風味があり、近年では「マー活女子」と呼ばれる、花椒を持ち歩き、どんな料理にでもかけてしまう若い女性も増えてきたそうです。
痛みと冷えのオススメ薬効
スパイスとして用いられる花椒ですが、温め成分はスパイス随一。
辛いと言ってもトウガラシとは違う辛さなため、腸を温め下痢を止める働きがあります。
また、体を温める力が強いので、冷えから来る胃痛や腹痛、そして鎮痛や解毒作用もあると言われています。
一昔前の中国では、回虫の駆除のために花椒を取り入れた漢方薬を服用する……という歴史もありました。
最近では、不整脈や狭心症などの治療にも効果があることが解り、現代医学からも注目されているスパイスなのです。
では、そんな花椒の昔からのオススメの食べ方はというと……。
風邪を引いたら「花椒入りお粥」
お米文化の日本ですが、同じアジアである中国も米食は昔から盛んです。
とくに、「お粥」に関してはひょっとすると日本よりも中国の方が浸透しているのではないかと言われるほど、中国人はお粥をよく食べます。
そんな中国のお粥で「風邪を引いたらこれ!!」と言われるのが「花椒入りお粥」。
その作り方は……。
【花椒入りお粥】
■材料■
- お米
- ショウガ
- 花椒
- 塩
■作り方■
お粥を作り、その中に干したショウガを刻んだものと、花椒を少々、塩少々を入れたもの。
とてもシンプルですが、花椒とショウガが体を温め、お米が栄養を補い、風邪からの回復を早めてくれます。
風邪を引いているときに辛いものを食べても大丈夫かと心配になってしまいますが、花椒の辛さはカプサイシンなどとは異なり、胃腸に刺激を与えることはとても少ないので、安心して食べることができます。
ただし、あまり花椒とショウガを入れすぎてしまうと、食べるのが逆に辛くなってしまうので、「美味しいな」と感じる程度に抑えておくようにしましょう。
冷え症の改善には「エビ花椒」
中国でも四川などはとても寒い地方で、冷えた体を温めるために辛いものを食べる文化が発達していったと言われていますが、四季があり寒暖の差が激しい日本でも、体は冷えます。
特に、梅雨時期などは体が水分をため込みやすいのに気温が下がっていたり、今日ではエアコンなどで夏場に必要以上に体が冷えてしまうことがあり、ムクミなども問題になります。
そんな時にオススメなのが「エビ花椒」。
とても簡単で美味しいのでぜひ作って食べて欲しい一品です。
【エビ花椒】
■材料■
- エビ
- ごま油
- 中華だし
- 塩
- 花椒
■作り方■
エビをごま油でさっと炒め、中華だしと塩、そして花椒で味を調えて完成。
とても簡単なのですが、体を温める性質をもつエビと体を温めるスパイスである花椒が組み合わさり、ダブルで体を温めてくれる一品。
晩ご飯のおかずはもちろんなのですが、体を冷やすビールのおつまみにして、体の冷えすぎを防ぐこともできますので、覚えて損はありません!!
近年人気の高まりがある花椒。
最近では市販の高級チョコレートなどにも使われることがあり、スイーツとの相性も良いそうなので、体の冷えが気になるこの夏、「マー活」してみてもよいかもしれませんね!!